父に会った日

2006.11.09(23:59)
東京で一人暮らしを始め、早○年。

学生時代の頃はよく実家に帰っていたが、今ではその回数も
すっかり減り、親にかけられる言葉といえば、「早く田舎に
帰ってきなさい」である。昔は「都会の中でちゃんと勉強して
きなさい!」だったのに。


朝起きて、ケータイを見たら1通のメールが。
こんな早い時間にメールを送る人は今は一人しかいない。

父だった。

最近、メールを覚えたから、アタシに送りたくてしょうがないのだ。
どうやら出張で東京へ来ているらしい。
今日の夜会えないかという、何とも急で強引なメールである。


仕事があるから無理だと思い、断りのメールを打っていたが、
「父と2人で食事するのって何年ぶりだろう。」と思い直し、
仕事を早く済ませ、父が泊まるホテルへと急いだ。


10代で実家を出てから外でちゃんと落ち着いて食事なんて
したことなかった気がする。そんな父と2人でじっくり会うのは
ちょっと緊張した。親子なのになんか変な感覚だった。


父はあたしが小さい時は女の子なのに容赦なく厳しくしつけ、
たまに厳しくしすぎて祖父から注意されるくらいだった。
だけど、いい子にしていた時はものすごく優しかった。
休みの日にはあたしの行きたい所には一度もイヤとは言わなかった。
恥ずかしがり屋でとても心配性な優しい父である。



久しぶりに見た父は見慣れないスーツを着ていた。
年老いたせいか、体が小さくなった感じがしてちょっと驚いた。
そして、ちょいワルとは程遠いくらい垢抜けなくて笑ってしまった。



食事の間は今の仕事の話とか、父の愚痴とか、旅行に行った話とかで
時間はあっという間に過ぎていった。


ホテルから駅まで歩きながら向かい、駅の入り口で別れることにした。
また、正月にはきっと会えるはずなのに、すごく名残惜しい
気持ちになって、駅の前で立ち話をするのだが、どちらからも
別れを切り出せない。


たぶん向こうからは無理だろうと思い、「じゃあね」と
あたしから手を振った。


すると父も小さく手を振った。


何か視界がぼやけてきたから、もう一度大きく手を振って
急いで背中を向けた。完全に背中を見せたときには、あたしの
頬に涙がつたっていた。


これで一生のさよなら、というわけではないのに。
どうしてしまったんだろう。
涙を流して歩いているあたしに気づいた人たちが、あたしのことを
不思議そうに見ていく。だけど、涙は静かに流れ続けた。


帰りの電車の中で、ずっと考えた。
最近、いいことがなかったから安心する時間が出来て
ほっとしたからかな、とか。


だけど、あたしは気づいた。


それは父とあたしのギャップ。


都会の生活に慣れ親しんだあたしと、田舎から出てきて、都会の
空気に馴染んでない父。知らず知らず出来ていた透明で頑丈な壁。


住む世界が違ってしまった――。
そのことへの淋しさを感じてしまったのだと思う。



あたしは単純な性格だから、すぐ元通りの生活に戻れると思う。
だけど、すぐあれこれ考えちゃうから、田舎に戻ろうかな、
なんて思ってしまったりもする。


久しぶりに父に会って、何かいろいろ考えさせられてしまった。
だけど、住む環境は違っても父はあたしの父であることには変わりない。
あたしは愛されている自信はある。
そのことを実感して嬉しかった。そして、父はあたしを愛して
くれているのに、あたしは何もしてあげられていないと思って
悔しかった。

今日の涙は、いろんな想いが詰まってふき出した涙なのだろう。


何だか取り留めのない文章になってしまったけど、
ファザコン上等!な、コウなのでした。




ポチッと応援して頂けると嬉しいです♪

| ホームへ | 今更「セーラー服と機関銃」第4話(ネタバレです)>>

コメント












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:
http://kouchin8.blog82.fc2.com/tb.php/9-95bcce12
| ホームへ |